6月13日(木)・14日(金)・15日(土)、科学機器を提供する企業が集結する展示会「みる・はかる・未来へつなぐ科学機器展 東海サイエンスパーク2024」が開催されました。
本展示会は3年に1回の頻度で行われており、オザワ科学は科学・試験・計測機器の最新トレンドの周知や科学の発展を願い、毎回出展しております。当社は今回、「いつもの日常業務を自動化しませんか」という投げかけのもと、自動化・省人化に関連する機器を展示しました。
今回の記事では、当日の模様を「展示会レポート」としてお届けいたします。
1.「みる・はかる・未来へつなぐ科学機器展 東海サイエンスパーク2024」とは?
東海・中部エリアは、ものづくりの一大集積地として知られています。名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催された本展示会には、このエリアで研究開発を支援する科学機器を提供する企業が集結。「みて、はかって、試せる」機会を通して、新たな企業間のコラボレーションを創出しました。
近年、働き方が大きく変化する中、コア業務に集中するため業務の自動化や省人化が求められています。そこで当社は今回、「自動化・省人化」をテーマにし関連する機器を展示しました。
英弘精機、倉敷紡績、ジーエルサイエンス、チノー、日立ハイテク、日立ハイテクサイエンス、ファロージャパン、フューチャーイン、三谷商事、武蔵エンジニアリング、メトラー・トレド、ヤマト科学(50音順)の協力により、「みて、はかって、試せる」ブースが完成しました。
2.最新科学機器が集結!注目製品のブースを体験レポート
オザワ科学のブースでは、下記のような定義で約30の機器を紹介しました。
・自動化
人間を介入しない、または最小限に抑えた機械や自律的なシステムによってタスクやプロセスを実行すること
・省人化
従来は人間が実施していたことに対し、機械やシステムの導入によって業務が代替され、効率を向上すること
機器は大きく、「ソフトウェア/システム/機械学習」「ハードウェア/機器/設備」と分類。ここからは、ご協力いただいた企業の中から3社の展示内容をピックアップしてご紹介します。
株式会社チノー│ センサーを使った技術で業務効率や安全性が向上
温度計測やセンサーおよび試験装置の製品とサービスを提供するチノー。赤外線計測分野や燃料電池評価試験分野で業界から高い評価を得ています。
チノーのコーナーでは、「産業用音響カメラ」「監視付き無線ロガー」「小形熱画像計測装置」といった、見えないものを見えるようにする技術により、業務の効率向上による省人化や、作業者の安全性を向上させる機器が展示されていました。中でも温度がグラフィカルにわかる熱画像カメラ(サーモグラフィー)は注目の的に。
また、工場内の機械・設備に接続された計測器をネットワークでつなげ、製造ラインの動向や稼働状況がリアルタイムに“見える化”する「集録・監視パッケージシステム(IoT監視システム)」も展示。
モニター上では、チノー藤岡事業所の電力や温度の状況がリアルタイムで更新されており、「見える化」が無駄への気づきや、効率化へのアクションにつながると、来場者の関心を集めていました。
株式会社フューチャーイン │ ペーパーレス〜データ活用・分析で現場を見える化〜
システム開発やネットワーク構築など、コンピュータおよびコンピュータ関連機器の販売、各種システム・サービスを提供するフューチャーイン。ICT技術を駆使し、民間企業の基幹系管理システム等を中心とした業務システム提案、システム開発、システム構築のほか、教育現場の業務支援、自治体や団体の業務負荷軽減や効率化につながる支援を得意としています。
ブースで展示されていたのは、省人化につながる「タブレットソリューション」と「現場の見える化システム」です。
●タブレットソリューション
未だ現場に残る手書きの書類記入を、様式を損なわずタブレット入力に移行できるソリューション。現場データが電子化されることで、リアルタイムにデータ収集が可能となり、情報共有やデータ分析などへも活用できます。
●現場の見える化システム
さまざまなデータを価値ある情報に変える、情報活用ダッシュボード。設備の稼働状況を可視化することで、効率的な運用やエラーを未然に予防するなどにつなげるシステムです。展示会当日はモニター上に、工場を想定した設備の画像や状況が表示されており、視覚的にわかりやすいと関心を集めていました。現在は自動車メーカーなど製造業を中心に導入が進んでいますが、科学機器の分野でも活用が期待できそうです。
株式会社日立ハイテク/株式会社日立ハイテクサイエンス │ 開発効率を上げるマテリアルズ・インフォマティクス
日立ハイテク/日立ハイテクサイエンスは、技術力を誇る日立グループの一員として、計測・分析・観察装置を開発・製造・販売している企業です。中でも、走査型電子顕微鏡(SEM)を応用し、半導体に特化した極めて高い精度を有する計測装置であるCD-SEM(測長SEM)は世界トップシェアを誇ります。
今回の展示会で用意されたのは、「材料データ分析環境提供サービス(マテリアルズ・インフォマティクス)」「ケミカルズ・インフォマティクス」「日立HPLC AI自動メソッド開発/頑健性評価システム ChromSword」「卓上顕微鏡TM4000Ⅱ」「分光光度計UH5200」とバラエティに富んだラインナップ。卓上顕微鏡TM4000Ⅱの実機では、高精度に表示された画像に驚きの声が上がっていました。
また、自社データを活用し、インフォマティクス技術を用いて配合の最適化を行える「材料データ分析環境提供サービス」にも来場者が集中していました。これまで材料開発においては、必要なデータが取れていない、もしくは取っているとしても数が少ないケースがほとんどで、人の経験と勘に頼る「属人化」という課題を抱えているのが現状です。
このサービスでは、AIが特許情報や画像情報から、分析対象データにおける予測の手掛かりとなる変数である特徴量や、使えそうなデータを収集。膨大なデータをもとに材料開発が行えるため、これまでのトライ&エラーを繰り返す進行から、よりロジカルな進行へと切り替えることができ、短納期・省人化が期待できます。
6月14日(金)には、日立ハイテクによる「マテリアルズ・インフォマティクスを材料開発に!開発の加速を支援」というテーマのセミナーも行われました。
前述のように材料開発は、仮設・検証・実験を繰り返す必要があることに加え、データ解析や人による意思決定などナレッジの蓄積が重要です。そのため、生産性向上に課題が多い分野の一つでした。近年の機械学習やデータサイエンスの向上により、材料開発の効率化を支援するサービスが注目を集めており、多くの参加者が講演に耳を傾けていました。
3.最終日はファミリーデイの開催も!
本展示会の特徴の一つが、最終日に行われる「ファミリーデイ」。ファミリーデイでは、日本の将来を担う子どもに対して、「科学技術の発展に貢献する仕事を見てもらいたい」という思いがあります。当日は親子連れを対象に、科学ショーや工作教室、各ブースで普段は触れることのない科学機器を体感するイベントが開催されました。
オザワ科学のブースでもファミリーに向けたイベントを実施。
「熱画像体験」では金属製と木製の黒い板に手を当ててもらい、熱伝導率の違いをサーモグラフィで確認してもらいました。また、干してある2枚の布を熱画像カメラで見ることで、どちらが濡れている布かを当てる気化熱の現象を見られるコーナーでは、視覚でわかる温度変化に目を輝かせていました。
他にも分光光度計を使って、プラバンの透過率を計測する体験を用意。プラバンに描かれた絵柄によって透過率が変わる不思議に、子どもたちは興味津々でした。自ら計測し、記録するという、研究者の基本を体験することもできたようです。
4.最後に
多くの実機が一堂に会する「東海サイエンスパーク」は、前回よりも多い5,000名強の方にお越しいただき、盛況のなか終了しました。
オザワ科学ブースでも多くの仕入先様のご協力により、お客様の問題解決につなげられるきっかけを多数いただくことができました。またファミリーデイでも、熱画像体験イベントは閉場間際までお子さまの列が絶えず、当社スタッフも最後まで楽しむことができました。
これからもオザワ科学では、本展示会のように社員・仕入先様・お客様・社会の皆様とつながる場所を何よりも大切に考え、未来の科学に貢献できる活動を続けてまいります。