Share

物質に温度変化が加わると、形状や性質が変わることがあります。材料の研究や開発において、温度変化によって機能や効果が変化することがあるため、温度変化による反応を測定する熱分析は欠かせません。

オザワ科学では、温度変化による試料の熱流、質量、長さ、弾性率を分析できる各種分析装置を揃え、材料研究や開発、製品の生産性の向上をサポートしています。

Index 目次

    1.熱分析とは?

    熱分析は、日本産業規格で「物質の温度を一定のプログラムによって変化させながら、その物質のある物理的性質を温度の関数として測定する一連の技法の総称(ここで、物質とはその反応生成物も含む)。」と定義されています。 

    物質の中には温度変化により、発熱する場合や重さ長さ、硬さを変えるものがあり、どんな物性を測定するかにより分析装置が異なります。 

     

    <熱による物質の変化> 

    • 熱的変化

    水を温めるとお湯になるように、温度変化により物質が吸熱・発熱をすることで、物質の熱量が変わること。 

    • 重量変化

    温度変化により物質の重さが変わること。木炭を加熱すると二酸化炭素が発生し、その分の質量が減少するのも重量変化の一例。 

    • 長さ変化

    線路に使われているレールは、夏は暑さで膨張し、冬になると縮みます。このように温度変化により、物質の長さが変わることがあります。 

    • 硬さ変化

    温度変化により物質の硬さ柔らかさが変わること。 

    2.熱分析で行われる代表的な手法

    熱分析は、検出したい物理的性質によって複数の手法があります。 

    一般社団法人日本分析機器工業会では一般的に用いられる技法として、温度(基準物質との温度差)を検出する「示差熱分析(DTA)」、基準物質との熱流差を検出する「示差走査熱量測定(DSC)」、質量(重量変化)を検出する「熱重量測定(TG)」、寸法変化を検出する「熱機械分析(TMA)」、弾性率を検出する「動的粘弾性測定(DMA)」の5つに大別しています。 

    DSC測定

    示差走査熱量計(DSC)NEXTA® DSCシリーズ:日立ハイテクサイエンス

    DSC測定は、示差走査熱量測定(DSC)を使った分析を指し、試料の温度変化に伴う熱量(熱の流出入)をとらえます。 

    結晶化(溶融状態から冷却していく際に秩序ある結晶構造になる反応)や熱履歴(温度変化の履歴)、ガラス転移(溶融状態から冷却していく際に結晶化せずガラス状の非晶質固体になる反応)、融解などの分析のほか、比熱測定や純度測定にも利用されます。 

    DSC測定では、試料と基準物質(測定温度範囲で変化のない物質)を配置し、ヒーターを使って温度を変化させながら試料と基準物質に設置した熱電対でそれぞれの温度を分析します。 

    DSC測定は一般的に、プラスチックや繊維、ゴムなどの高分子材料の開発や耐久性の分析などに活用されています。 

    示差走査熱量測定(DSC)装置の代表的なものとしては、日立ハイテクサイエンスの「NEXTA® DSCシリーズ」、パーキンエルマージャパンの「DSCシリーズ」があります。 

    TG/DSC(DTA)測定

    示差熱熱重量同時測定装置(TG-DSC)NEXTA® STAシリーズ:日立ハイテクサイエンス

    TG測定は、熱重量測定(TG)を使った分析を指し、試料の温度変化に伴う重量をとらえます。TG/DSC(DTA)測定では、単一の装置でTG測定とDSC(DTA)測定を同時に行います。 

    一般的な分析方法としては、ヒーター内の天秤ビームに、試料と基準物質を対称に配置します。制御プログラムに従ってそれぞれが加熱され重量変化が生じると、天秤ビームが傾きます。傾斜を検出すると、コイルに電流が流れることで電磁力が発生し、傾いた天秤ビームが水平に戻ります。このときの電流値が重量変化として記録されていく仕組みです。 

    TG測定は試料の酸化や熱分解、脱水などによる重量変化がわかるため、各種材料、医薬、食品などの研究開発、品質管理などの場面で広く活用されています。 

    示差熱熱重量同時測定(TG/DSC)装置の代表的なものとしては、日立ハイテクサイエンスの「NEXTA® STAシリーズ」やパーキンエルマージャパン「TGAシリーズ」があります。 

    TMA測定

    TMA測定は、熱機械分析(TMA)を使った分析を指し、試料の温度を変化させながら圧縮や引張り、曲げなどの荷重を加えて、物質の変形をとらえます。 

    形状変化の伴う現象として、熱膨張や熱収縮、ガラス転移、硬化反応、熱履歴の検討などが主な測定対象です。また融解や結晶化も検出できますが、プローブへの溶着が起こらないように注意が必要です。 

    一般的な分析方法としては、試料をヒーター内に設置しプローブを当てます。荷重発生部からプローブを介して試料に荷重を与えながら、ヒーターで試料温度をコントロールします。温度変化により試料が膨張したり、軟化したりすると、プローブを通じて検出され、変位量が測定される仕組みです。 

    TMA測定も材料研究・開発などで活用されています。また、製造業においては、歩留まり率(原料や素材の投入量に対して得られる生産数量の割合)を高めることが課題です。TMA測定によって製造工程での材料の膨張率変化を把握しておくことは、歩留まり率を高めるためにも欠かせません。 

    熱機械分析(TMA)装置の代表的なものとしては、日立ハイテクサイエンスの「TMAシリーズ」があります。 

    DMA測定

    DMA測定は、動的粘弾性測定(DMA)を使った分析を指し、試料に時間によって変化する歪みや応力を与えて、それによって発生する応力または歪みをとらえます。 

    なお、時間によって変化しない一定の歪みや応力のもとで測定する方法を、静的粘弾性測定と言います。 

    一般的な分析方法としては、試料をヒーター内に固定し、引っ張りや圧縮、せん断、曲げなどから荷重方法を選び、温度変化と荷重を加えていきます。試料の変化はプローブを通じて検出され、弾性率や粘性率などが算出される仕組みです。 

    DMA測定は高分子材料の研究・開発のほか、粘性率を調べて食感を調整するなど、食品業界でも活用されています。 

    動的粘弾性測定(DMA)装置の代表的なものとしては、日立ハイテクサイエンスの「NEXTA® DMAシリーズ」やサーモフィッシャーサイエンティフィックの「HAAKE」があります。 

    3.熱分析の導入例と注意点

    このように熱分析は材料研究・開発、品質評価などに利用されていますが、世の中にある物質の多くが熱による変化を伴う以上、その応用範囲は無限とも言えます。 

    先端分野では、前述の高分子材料やファインセラミックスなどにおいて、無機物や添加剤を加えて新たな特性を出そうとすれば、熱分析を行い、あらゆる環境下でその特性が発揮されるか調べる必要があります。 

    また食品業界では、「味」とともに、口どけや歯ざわり、舌ざわり、喉ごしといった「食感」も大切なポイントになります。たとえば常温では溶けずに、口に入れるとやわらかくなる絶妙な食感のチョコレート。その開発の裏には、丹念な熱分析があります。 

    さらに熱分析は、私たちの安心と安全を支えている側面もあります。たとえば電気が通るケーブルは、耐熱被膜で覆われていますが、熱分析を活用した研究開発がなければ、電線被膜の耐熱性が足りず漏電によって火災や停電につながる危険があります。 

    オザワ科学では、熱分析を必要とするさまざまなお客様の課題に寄り添ってきました。導入方法としては、まず示差走査熱量測定(DSC)装置を導入し、示差熱熱重量同時測定(TG/DSC)装置、さらに熱機械分析(TMA)装置や動的粘弾性測定(DMA)装置を加えていくケースが一般的です。もっとも、「どんな物性を測定するか」「プライオリティの高い数値は何か」によって、必要となる機器や導入順序は異なります。 

    4.まとめ

    オザワ科学では、さまざまなメーカーの熱分析装置を揃え、お客様の熱分析ニーズをヒヤリングした上で最適な一台をご提案しています。深い知識とともに提案ができるだけでなく、納品時には操作方法をご説明し、正しく効果的な測定をサポートしています。 

    さらに、ご購入後のメンテナンスにおいても、気軽にお問合せいただけます。 

    すでに熱分析装置を導入すべきかお決まりの方も、どんな装置で分析すべきかわからない方も、当社にご相談ください。