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製品の中に本来混ざってはいけない異物が混入すると、品質を下げるだけでなく、設備の故障を引き起こしたり、お客様からの信頼を損なったりしてしまいます。そのため異物分析により、迅速かつ確実な異物特定を行い、混入経路を調べて再発防止に努めなければなりません。

オザワ科学では、異物分析に関する前処理装置や、分析装置を各種取り揃え、異物発生の原因究明をサポートしています。

Index 目次

    1.異物分析とは?

    厳しい品質・工程管理や検査体制を敷いても、人的ミスや機械トラブル、事故などによる異物混入をゼロにするのは困難です。そのため、日常的に検査をして未然に防いだり、異物混入が発覚した後に迅速に特定することが求められます。 

    検査機関に依頼する方法もありますが、自社で異物検査に必要な装置を揃える方法もあります。特に近年は、安全・安心への意識の高まりから分析ニーズが増えています。電子顕微鏡といえば、ひと昔前は大型で初期費用がかかる装置でしたが、近年では比較的安価で小型でありながら高精度な装置が出てきました。そのため自社で分析装置を導入しやすくなっています。 

    異物分析のニーズとしては、食品、医薬品、プラスチック成形品、半導体などさまざまです。ひとえに異物と言っても、混入の形状はいろいろで、その分類によって前処理や分析装置が異なります。 

    また、最近は異物に微小化の傾向があり、より高精度な異物分析が求められるようになっています。 

    <異物の形状分類> 

    • 表面

    塊や繊維、液などの異物が、製品の表面に付着している状態。プラスチック成形品、半導体のシリコンウエハー、フィルム、加工食品、基板、レンズ、紙類などで見られます。 

    • 内部

    くぼみや穴、チューブ、空洞の中など、製品の内部に異物がある状態。プラスチック成形品、基板、チューブ、粘着物、加工食品、飲料、膜、調味料などで発生しやすい。 

    • 埋没

    製品の中に異物が隙間なく埋まっている状態。プラスチック成形品、フィルム、加工食品、レジスト(基板の表面に塗られた緑色の塗料)、紙類、粘着物などで見られます。 

    異物分析の流れ

    特定の成分を検出する分析と異なり、「何が混入しているか」が不明確な異物分析は、推論に基づき試料に前処理を施すなどの工程が必要になります。 

    ケースごとに異なりますが、ここでは一般的な異物分析の流れを紹介します。 

    1.異物発生 

    異物が発生した状況、周辺の環境、異物の色や大きさなどの情報を可能な限り多く集め、異物が何かの予測を行います。 

    2.形態観察 

    異物を特定するために外観を観察します。目視で確認した後に顕微鏡やマイクロスコープで拡大し、対象物のより多くの情報を収集。形状分類を行い、試料をどのように調整し、どんな分析を行うか協議します。 

    3.試料調整 

    分析を行う前処理として、試料の調整を行います。主な処理としては、採取や洗浄、溶解、分離、切断などが挙げられます。マニピュレータやミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)といった前処理専用装置を使います。 

    4.分析 

    異物の性状に応じて分析を行います。異物は有機物、無機物、混合物に分けられ、適切な分析装置を選定して分析します。

    5.解析 

    分析結果を元に異物を特定します。 

    6.報告 

    特定された異物から、混入経路や混入理由を突き止め、再発防止の対策とともに社内外に報告します。 

    2.異物分析で使われる代表的な装置

    前述のように、異物は有機物、無機物、混合物に分けられ、最適な装置を選んで分析します。 ここでは、異物分析で使用される代表的な分析装置をご紹介します。 

    • FT-IR(フーリエ変換型赤外線分光法)

    測定対象物に赤外線を照射し、赤外線吸収スペクトルを読み解くことで化合物の定性・定量を測定する方法。汎用性が高く、操作が容易、短時間で分析できることから、一般的な分析装置となっています。 

    • Raman(ラマン分光法)

    物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれます(ラマン散乱光)。その性質を調べることで、含まれる物質の分子構造や結晶構造を知る手法です。異物分析以外にも、工業製品の分析などにも使われます。 

    • XRF(蛍光X線分析)

    測定対象物にX線を照射した際に発生する蛍光X線を解析することで、化合物の定性・定量を測定する方法。短時間で多元素を同時分析できるのが強みで、異物が無機物と推定される際に使用します。 

    • SEM(走査型電子顕微鏡)

    測定対象物に電子線を当て、試料から出てくる電子の情報を頼りに、試料の表面状況を低倍率から高倍率まで連続的に観察できる顕微鏡です。電子顕微鏡で観察しながら元素分析を行うSEM/EDSという装置もあります。 

    • X線CT

    主に非破壊の検査・分析に用いられる方法。試料にX線を照射し、物体の断面画像や立体像から異物を発見します。

     電子顕微鏡(卓上SEM) 

    日立ハイテク・卓上顕微鏡 Miniscope ®TM4000Ⅱ

    肉眼で見えない微小な異物を観察できる電子顕微鏡です。かつては性能を維持するためにそれなりのサイズが必要でしたが、近年は小型化が進み、机の上に乗るような「卓上SEM」が各メーカーからリリースされています。 

    サイズはコンパクトになっても、大型機に比べて遜色ない高解像度で観察できるため、迅速かつ確実な異物分析に活用できます。

    試料を台に固定し、スタートボタンを押せば数分で画像観察が可能です。元素分析もできる装置であれば、観察画像が色分けされ、視覚的に構成元素がわかります。 

    卓上SEMの代表装置としては、日立ハイテクの「卓上顕微鏡 Miniscope ®TM4000Ⅱ」があります。こちらは、試料を前処理なしで光学顕微鏡を超える最大10万倍という高倍率ですばやく観察できます。元素分析も可能です。 

     FT-IR 

    Nicolet FT-IR 分光光度計:サーモフィッシャーサイエンティフィック

    測定対象物の赤外線吸収スペクトルを読み解き、対象物の特性を分析するFT-IR。異物の同定、材料の定性・定量分析、組成変化の解析ができるため、食品や飲料の品質管理、異物分析を代表とするクレーム品の対応に広く利用されています。 

    FT-IRでは、干渉計と呼ばれる技術で赤外光を干渉させます。干渉計の内部で2つに分割された赤外光は、再び合流、再結合し、再結合するときに波の位相差が生じます。位相差を持つ光は対象物に向かい、その後検出器で受光します。この光の干渉波をフーリエ変換と呼ばれる計算により処理し、対象物の特性を分析します。

    FT-IRの代表装置としては、サーモフィッシャーサイエンティフィックの「Nicolet FT-IR 分光光度計」があります。こちらは、装置に搭載されたタッチパネルで迅速かつ簡単に操作をすることができるのが特徴です。 

    3.異物分析装置の導入ポイント

    繰り返しになりますが、安全・安心への意識の高まりから異物分析のニーズが高まっています。中でもパソコンやスマートフォンといった電子機器に欠かせないバッテリーに関しては、金属異物の検出、解析が欠かせません。 

    近年はインターネットに情報があふれているため、異物混入時に事前に分析装置の情報を入手されてからお問い合わせされるケースもあります。一方でここまでご説明したように、異物分析を確実なものにするためには、正しい手順を踏み、最適な装置を使用することが求められます。 

    また、分析装置は日進月歩で進化が進んでいるため、最適なスペックの見極めも重要となります。たとえば分析装置の中でも、電子顕微鏡の進化は著しく、およそ15年前の大型電子顕微鏡の機能を、最新の卓上電子顕微鏡でカバーすることができます。 

    分析装置とともに、前処理装置が必要となることもありますので、知見と実績のある業者にご相談することをおすすめします。オザワ科学でも、異物分析を熟知したスタッフがサポートしています。 

    4.まとめ

    暮らしの安心と安全を守ったり、機能を高めながら開発の最前線を支えたりするため、異物分析のニーズは高まっています。 

    需要の高まりを受け、分析装置の進化も著しいため、スペックや価格の面で自社に最適な機器を見つけるのは簡単なことではありません。 

    オザワ科学のビフォアセールス(BS)課は、デモンストレーションを得意としています。分析装置の選定はご自身の目で確かめていただくことが重要なポイントです。お客様のご要望に合った装置を提案いたします。

    さらに装置の据付や修理メンテナンスを行うアフターサービス(AS)課もあり、アフターメンテナンスの上でも安心してお任せいただけます。異物分析にお困りでしたら、お気軽に当社までご相談くださいませ。