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研究開発やものづくりに関するさまざまな科学機器を取り扱うオザワ科学では、商社として商品を販売するだけではなく、より効果的な使い方をご提案することで、お客様の課題解決に貢献しています。 

性能を存分に引き出すために装置を組み合わせて提案ができるのは、複数取扱メーカーがある当社ならではのノウハウです。 

今回オザワ科学では、各種装置を組み合わせたトータルソリューションセミナーを企画しました。セミナー前半ではメインとなる耐熱形熱画像カメラの説明をし、後半は実演をご覧いただきながら、活用方法の理解を深めていただきたいと思います。 

Index 目次

    1.[セミナー概要]トータルソリューションの見える化で、効果的な活用方法がわかる

     

    チノーが開発した「耐熱形熱画像カメラは、最大150℃の高温環境下で使用できる新しい熱画像カメラです。

    昨今さまざまな部品が、より過酷な温度環境下での試験を求められる中、こちらの製品は熱対策が重要となる電子部品など信頼性を担保する評価試験に有用です。しかし実際には、装置の購入を検討するにあたって別の機器を組み合わせる必要があるため、「装置単体では具体的な活用方法がイメージしづらい」という声が聞こえてきました。 

    そこで今回のセミナーでは、お客様に具体的な活用方法をイメージしていただくため、当社のラボ内に試験環境を再現しました。チノーの耐熱形熱画像カメラエスペックの「恒温(恒湿)器内に設置し、エーディーシーの「直流電圧・電流源で電圧と電流を発生させながら、電子部品サンプルの温度変化を測定しました。 

    熱画像カメラは「熱」の状態を可視化し、私たちが「熱」とうまく付き合っていくために欠かせない計測装置です。今回紹介する耐熱形熱画像カメラは、家電や情報端末器をはじめ、EV化が加速する自動車業界、さらには食品や農業といった幅広い業界での評価試験などに活用できることでしょう。 

    2.[背景&ニーズ]車載向け電子部品は世界基準の規格クリアが必須に 

    温度の計測においては、熱電対を使った方法も知られています。熱電対は金属導体の接点で接触している部分の定点測定となるため、サンプルによっては測定ポイントを変えて繰返し測定する必要があったり、測定ポイント周囲の熱による影響がわかりにくかったりと、正しい情報を得るためには労力がかかります。  

    熱画像カメラは、測定したいサンプルに非接触で温度測定ができるため、サンプルの形状を保つことができ、安全性も高いのが特徴です。「点」ではなく「面」で温度がわかり、温度分布をイメージとして捉えられる点も大きなメリットです。 

    熱画像カメラは、チノーを含め多くのメーカーが取り扱っていますが、恒温槽内での測定の場合は対応できるものは限られます。特に近年は自動車のEV化が進み、電動化のほか安全対応、自動運転補助などに対応する車載用の電子部品の高信頼性が求められています。信頼性を担保するために広く採用されている規格が「AEC規格」であり、自動車関連企業に電子部品を納品する際にはこの規格をクリアしているかが問われます。 

     AEC規格とは?

    米国の3大自動車メーカーを中心として大手電子部品メーカーが参加して1990年代に設立された、AEC(Automotive Electronics Council:車載電子部品評議会)が定める、車載向け電子部品の規格や品質の共通規格。 

    AEC規格の種類は電子部品ごとで異なっています。また、AEC規格は製品の使用温度範囲によってグレードが分かれており、試験評価における環境温度の判定基準として設定されています。 

    3.[装置紹介]組み合わせることで測定装置の性能を最大限に引き出す

    セミナーの前半では耐熱形熱画像カメラの説明をしセミナー後半に簡単な実演の様子をご紹介させていただきます。 

    使用機器:耐熱形熱画像カメラ[チノー]

    カメラ本体に環境温度150℃の耐熱性を持たせた、恒温槽内設置形のサーモグラフィ。恒温槽内に設置することで、電子部品などの熱画像データを連続的に取得して温度分布の解析をすることができます。 

    AEC規格試験をはじめとした、高温環境下での電子部品の信頼性評価をスピーディに叶えます。 

    <主な仕様> 

    • 視野角(水平×垂直) 25°×19°
    • 解像度(水平×垂直) 320×24076,800画素)
    • 測定温度範囲 0〜300℃(精度保証は50℃以上)
    • 測定温度誤差 測定値の±2%または±2℃の大きい値
    • フレームレート 60Hz(専用コントローラー接続時30Hz)
    • 使用環境温度 25〜150℃
    • 測定距離 0.3m〜(精度保証は0.5m以上
    • 熱画像データ転送 UDP(専用プロトコル1000BASE-T
    • 質量 2.5kg
    • 電源 24V DC(フリー電源付属) 

    使用機器:恒温(恒湿)器[エスペック] 

    国内環境試験器メーカーで初めて、低GWP冷媒-449Aを採用し、消費電力を大幅に低減。24時間のフル稼働でも安心して使える恒温器です。 

    タッチパネル式のコントローラーを採用し、直感的に温度や湿度の設定が可能。カスタマイズがしやすい設計のため、使用目的や方法に合わせて装置をアレンジすることもできます。 

    <主な仕様> 

    • 温度範囲 -40℃〜+100℃(実験装置はオプション設定により〜+150℃)
    • 湿度範囲 20〜98rh
    • 温湿度変動 ±0.3℃/±2.5rH
    • 内容量 225ℓ
    • 質量 340㎏
    • 電源 AC200V 3φ 3W 50/60Hz

    使用機器:直流電圧・電流源[エーディーシー] 

    直流電圧・電流源は、電子機器などの動作に必要な直流の電圧・電流を供給する装置で、こちらは高速レスポンスのパルス発生及び測定機能と、コネクタなどの接触抵抗を試験できる低抵抗測定機能を搭載しています。 

    電圧・電流発生は4.5桁、測定は5.5桁、基本確度は±0.02%と非常に高い確度なのが特徴。最小パルス幅50μsのパルス測定機能を持っているため、半導体やその他電子部品の研究・開発での評価用電源や、生産ラインでの特性試験システム用電源としても活用できます。 

    <主な仕様> 

    • 発生桁数 4.5
    • 最大出力 (電圧)±15V/1A (電流)±4A/10VDCで±1A/15V
    • 最小分解能 (電圧)10μV (電流)1nA
    • 測定桁数 5.5
    • 基本確度(代表レンジ) 0.02
    • 最小測定分解能 (電圧)1μV (電流)100pA
    • 抵抗測定最大値/最小分解能 0.75GΩ0.25μΩ
    • 最小パルス幅 50μs 

    4.[試験概要]部品ごとに異なる温度変化が短時間で一目瞭然に

    今回の試験では、耐熱形熱画像カメラの測定代表例である、電子部品をサンプルに採用しました。 

    槽内の温度を25℃から10℃刻みに上げていき、55℃になった時点で再び25℃まで戻します。その結果、電子部品のパーツごとに温度変化の速度や耐熱性が異なることが、色調変化により視覚的に判別できました。また恒温槽内の温度と時間を設定しておけば、サンプル温度状態を自動で計測してくれるため試験中の手間もほとんどありません。 

    熱電対の場合、測定サンプルごとに付け替えたり、複数箇所を測定したい場合は熱電対を取り付ける作業にも時間と手間がかかります。高温環境下の試験となれば、温度の上げ下げにも時間を要しますし、安全面にも配慮しなければなりません。 

    セミナーで実際に機器を組み合わせ、測定の様子を見ていただくことで、参加されたお客様は耐熱形熱画像カメラの簡便性や、自社での活用シーンが明確になるのではないでしょうか。 

    [まとめ]お客様本位のトータルなご提案もオザワ科学なら可能 

    今回のセミナーでは「実演」を織り交ぜ、研究・開発において欠かせない熱分析において、特にニーズが高まる高温環境下での熱分布計測を再現することができました。 「高温環境下での熱分布計測」に興味のある方は、ぜひご視聴を検討いただけますと幸いです。

    科学機器は複数の機器を組み合わせることで、より大きな効果を発揮するものも少なくありません。 

    そのためオザワ科学では、単一のメーカーや機器にフォーカスするだけではなく、お客様が実際に測定したい状況をイメージし、取扱メーカーの機器を組み合わせ複合的に提案することを大切に考えています。 

     研究・試験を迅速化・効率化することで、お客さまの製品の競争力はより高まることでしょう。 当社では今後も「製品コラボ&実演」を織込んださまざまなセミナーを企画していく予定です。 セミナーのご要望、計測・分析機器でお困り事ございましたら、お気軽にご相談ください。 

     

    この記事に関するセミナー申込はこちら(2023年11月15日(水)14:00-14:45)